対象:遺産相続
芦川 京之助
司法書士
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所有権移転仮登記を抹消登記する手続を行うことをお勧めします。
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司法書士の芦川京之助でございます。
専門外のこともありますが、参考までにお答えいたします。
最初に、贈与による所有権移転仮登記について、ご説明いたします。
土地に登記されている所有権移転仮登記の意味は、次のとおりです。
土地は、祖父名義だったと思われますが、これをお父様が相続により名義変更登記しています。
その後に、祖父の「第三者」に贈与により、所有権移転仮登記をしています。
この仮登記は、日付の関係から、お父様と「第三者」で登記手続をしたものと思われます。
贈与の日付、相続の日付から考えて、祖父と「第三者」との贈与の約束をお父様が「第三者」と登記手続をしたと思われます。
ただし、登記上は、仮登記ですので、「第三者」の所有権が確定しているわけではありません。
この所有権移転仮登記とした意味が不明ですが、法律上の所有者は、「第三者」であるけれども、登記上は、仮登記であることから、「第三者」の所有権が登記上、確定していません。
祖父(お父様)が、真実、「第三者」に贈与して所有権を「第三者」としたのか、あるいは、お父様が登記上だけ、とりあえず仮登記にしておこうとしたのかが不明です。
いずれにしても、この土地の所有者は、現在、「第三者」であるけれども(祖父が「第三者」に贈与した。)、所有者として登記上、確定していない状況です。
この意味は、登記上の所有者は、基本的に、法律上の所有者と同一と考えられます。
仮登記の場合は、所有者ではなく「権利者」として登記されるため、法律上の所有者であるけれども、登記上の所有者とはいえないことになります。(この辺の意味が一般の方にとっては難しいところです。)
ハウスメーカーが登記上の所有者が誰であるのかを調べたのは、基本的に、他人の土地に建築することができないからです。
他人の土地に建築する場合は、建物を所有する法律上の根拠が必要となるからです。
他人所有の土地であれば、少なくとも、土地所有者の承諾を得る必要があります。
現在の所有者が登記上、確定していない状況で、ハウスメーカーは建築することができないと思われます。
この点について、ハウスメーカーにご確認ください。
補足
また、所有者が登記上、確定していないというこの状況は、お父様から相続によりご相談者名義に変更登記したとしても、変わるものではありません。
そこで、完全に、ご相談者が法律上も登記上も所有者となるには、この所有権移転仮登記の抹消登記をする必要があります。
抹消登記の方法は、「第三者」の現在の住所を役所で調査します。これは専門家に依頼された方がよいでしょう。
また、調査した結果「第三者」が死亡している場合は、その法定相続人全員を相手とする必要があります。
まずは、所有権移転仮登記を抹消登記することをお考えになった方がよいと思います。
この手続を最寄の司法書士に依頼されることをお勧めいたします。
なお、建築資金を金融機関から借り入れる場合、金融機関は、建築する土地・建物に抵当権を設定登記しますので、この所有権移転仮登記が抹消登記されない場合は、融資を受けることができないと思われます。
以上、お役に立てれば幸いです。
横浜リーガルハート司法書士事務所ホームページ
司法書士情報館 http://legal-heart.com/main/
相続登記情報館 http://legal-heart.com/
不動産売買登記情報館 http://touki-baibai.com/
不動産贈与登記情報館 http://touki-baibai.com/zoyo/
抵当権抹消登記情報館 http://legal-heart.com/masho/
評価・お礼
にとちゃん さん
2012/12/06 19:03
早速の解答、ありがとうございます。結果としてはとても残念でしたが、法律上の所有者と登記上の所有者、複雑なしくみがよくわかりました。また、書面で見ただけでは何故、このようなことになっているのか全く理解できなかったのですが、この一連の流れにも納得の解答をいただき、感謝いたします。
このままでは家を建てることも不可能であることが明確で、今後しなければならないことが見え、それに向かって進めていくことにします。安易に考え先走らず、本当によかったです。
ありがとうございました。
芦川 京之助
2012/12/07 19:03
にとちゃん様、高評価をいただき、ありがとうございます。
この所有権移転仮登記の抹消手続きについては、基本的に、「第三者」または、その相続人と交渉することになります。
ですので、まず、登記の手続をする司法書士に、具体的に、どのような交渉になるのかをご相談されるのがよいと思います。
次に、実際、にとちゃん様が、「第三者」と直接、交渉することはもちろん問題ありませんが、司法書士は、にとちゃん様を代理して「第三者」と交渉することができません。
司法書士ができることは、「第三者」に登記手続きについて説明することができるだけです。
にとちゃん様がご自分の代理人とすることができるのは、弁護士だけです。
弁護士がにとちゃん様を代理して「第三者」と交渉します。
この際、「第三者」には、ある程度の金銭の提供が必要になると思われます。
この金額をいくらにするかは、弁護士にご相談ください。
以上の内容について、市役所の法律相談(30分無料)を受けられてはいかがでしょうか。
良い結果になることを祈念いたします。
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
9月に父が亡くなり、父が所有していた土地を相続し、家を建てようと計画していました。建設予定地をハウスメーカーの方が調べたところ、第三者の「所有権移転仮登記」がついていることがわかりました。
… [続きを読む]
にとちゃんさん (青森県/45歳/女性)
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