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小松 和弘 専門家

小松 和弘
経営コンサルタント

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お答えします

2012/04/30 23:07
(
5.0
)

芳雅優啓様、こんにちは。

「個人事業主として独立後、現在給与として受け取っている金額を報酬として受け取れるか」というご相談ですね。
夢である独立開業に向けて頑張っておられるお力になりたいと思います。

以下ではお尋ねの個人事業主として独立後に給与を報酬として得られるかという点、考えられる障害と注意点についてお話し致します。

1.個人事業主として独立後に給与を報酬として得られるか
まずはお尋ねの「給与として受け取っている金額を報酬として受け取れるか」ですが、退職し、その後独立業者として同じ仕事を行うこと、それ自体には制度上の制約はありません。従って基本的には先方の合意さえ得られれば可能です。

一般的に、先方(「顧客」)の側からみた場合、自社の社員と同じ仕事を与えられるとしたら、雇用にかかるコストや義務に比して外部の業者に外注するほうが安く調整も容易であるという意味では、有利になります。

2.考えられる障害
不利益が生じるケースとして以下のようなものが考えられます。

・外注できる仕事が限られてくる場合
IT業界などに多くみられる多重請負で顧客がそのまたお客さんと請負契約や委託契約で仕事をしている場合などで、上位のお客さんが再委託の禁止や個人事業主の使用の制限を設けていることがあります。

また外注すべきではない業務もあります。特殊なノウハウを使って行う仕事など、自社の競争力の源泉に関わる仕事は一般的に外注を嫌うものです。

・外部の業者を使うことにより事務コストが増加する場合
先方が資本金1千万円超の事業者で、かつ事業として製造・修理・情報成果物作成・役務の提供を行っていて、その一部を芳雅様に委託される場合、先方と芳雅様との関係は下請法の定める「親事業者」「下請事業者」の関係となり、先方には書面の交付義務、取引記録の保存などの義務が発生します。
現在、他に同じような立場で仕事を出している先がない場合、先方では制度の学習や管理に関わるコストが増える場合があります。

・個人事業主との取引自体を行っていない場合
会社によってはトラブルが生じた時の保障能力や社会的信用の問題で個人事業主への外注そのものを避ける場合もあります。

こうした事情がなければ、現在の給与と同額を報酬として受け取りたいという話を持ちかければ応じてもらえるのではないでしょうか。

補足に続きます。

補足

3.注意点

ここで注意して頂きたい点は、現在の給与と同額を報酬として受け取るのが芳雅様からみて妥当であるかどうか、です。
現時点で「顧客」になってくれることが見込める相手でも、将来に渡り安定して仕事をもらえる保証は何もありません。
独立開業はご自身の裁量で仕事を取って行く自由を得られるのと同時に、リスクを負うものであることをまずは御承知ください。

次に税金面での注意点です。
芳雅様は現在すでに確定申告をされているとのことですが「給与所得控除」は意識されていますでしょうか?
給与所得の場合、所得から一定額(180万円以下では収入金額×40%)が必ず控除されます。給与所得から事業所得に変わると、この「給与所得控除」がなくなります。
つまり同じ所得で経費を申請しない場合、課税される額は事業所得の方が多くなります。

もちろん、経費の管理や各種控除を使って一定の節税は可能ですが、現状よりも節税になるかどうか事前によくシミュレーションした方がよいでしょう。
なお、独立開業後は開業届を出し青色申告を行うことをお勧めいたします。

また蛇足ですが、独立されて契約を結ぶ場合には親しい相手であっても、業務委託契約書などの契約書類は必ず作成しましょう。
無用なトラブルを避けることにもなります。

芳雅様のご成功を心よりお祈りいたします。

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評価・お礼

芳雅優啓 さん

2012/05/03 22:40

小松 和弘 様、こんにちは。ご丁寧な回答をありがとうございました。以前色々調べていると医療系でこんな例が・・・。内視鏡検査で病院の機器を使用し検査をすると給与に。自分で機器を持ち込み検査すると報酬で受け取れると。この事例の解釈は正しいのでしょうか?自分のやりたい仕事も業種は違えども、似たような形だと考えているのですが・・・。あと、スタート時は現在主として働いている事業所をそのまま正社員で働き、他の部分を独立開業し、委任契約して報酬をいただく。そして、後々すべて独立した形に持っていくのが理想かと考えているのですが、いかがでしょうか?たびたびの質問で申し訳ありませんが、お答えいただけたら幸いです。

小松 和弘

2012/05/16 00:42

芳雅様、評価・お返事ありがとうございます。

まずお調べの内視鏡検査の例につきましては、契約関係が「適正な請負」であるかどうかを判断する際の基準の一つとして「請負事業主が、請負業務で使用する機械・設備・器材・材料などの全てを自ら調達・準備していること」というものがあります。
(「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」 (昭和61年労働省告示第37号))
これに基づいて病院側が、自前で検査機器を揃えている業者にのみ、検査業務を外注しているということでしょう。

次に芳雅様が、現在の主たる収入は現在雇用契約のまま給与として得、従たる収入については、独立し個人事業主として事業収入として得ることとしたいが可能かという点につきましては、現在雇用契約にある企業の就業規定で「兼業禁止」などの取り決めがなければ特に問題はないでしょう。

回答専門家

小松 和弘
小松 和弘
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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この回答の相談

給与を開業を機に事業所得としてもらえるか?

法人・ビジネス 独立開業 2012/04/11 15:41

現在、主たる給与をもらってる事業所の他に複数の所から給与として年間約150万円もらっています。独立開業が夢であり、節税のためもあり個人事業者として開業し前記した150万円を事業所… [続きを読む]

芳雅優啓さん (山梨県/40歳/男性)

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