対象:住宅設計・構造
中舎 重之
建築家
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木造住宅の耐震性について
新築の建物が強いと思われているのは、仕口部(柱と梁の部分)や耐力壁の所に金物を使用することが義務付けされているからです。今から19年前の阪神大震災の時に梁が柱から外れて倒壊した事を踏まえて金物の規定が法律で決められました。耐震の基本は柱と柱を繋ぐ耐力壁の配置にあります。耐力壁が建物の外側に多い場合は耐震性能としては低いと思って下さい。耐力壁が家の内側に多いのであれば安心です。次は国が定めている耐震基準の話です。今から91年前の関東大震災の時に東京の本郷台にあった気象台の地震計が200ガルを観測しました。その数字を使って全国一律に規制しました。本郷台は東京でも地盤が良い所で地震の揺れが小さく、火災で10万の人々が亡くなった下町の揺れは400ガルを越えていたと思われます。さて、建築基準法施行令第46条の規定で建てられた木造住宅は、
200x0.7=140ガルの耐力があります。木造住宅2階建てでも、許容応力度計算によって設計した建物は、200ガル(気象庁震度5強)に耐えられます。最近、震度6強までOKの話を聞きますが、それは400ガルまでOKとの事ですので、構造専門の当方としては信じられない話です。ちなみに、阪神大震災で被害が一番大きかった長田区の揺れは、600ガルでした。要するに同じ地震であっても軟弱地盤の上に建つ家は大きく揺れ、固い地盤の上の家であれば揺れが小さいと言う事です。
以上です。 2014.5.3 中舎重之
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