対象:遺産相続
柿沼 太一
弁護士
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相続人の範囲
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- 5.0
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はじめまして。
神戸の弁護士の柿沼と申します。
ご質問の件については,おじいさまの相続とおばあさまの相続を分けて考える必要があります。また,おじいさま,おばあさまの相続いずれでもまだ遺産分割協議が成立していないことを前提とします。
1 おばあさまの相続について
まず,おばあさまの相続については,「おじいさまの実子2名姉妹が後におばあさまと養子縁組」して,その後もおばあさまが亡くなるまで養子縁組が解消していなかったということであれば,当該2名姉妹(姉をA,妹をBとします)がおばあさまの相続人となります。
問題は,Aの子供3人(C,D,Eとします)が相続人(代襲相続人)になるかどうか,です。
これは,C,D,Eが生まれた時期が養子縁組前か縁組後かで結論が変わってきます。
縁組前に出生したAの子は代襲相続人になりませんが,縁組後に出生したAの子供は代襲相続人になります。
ここではとりあえずC,D,E全てが縁組後に出生したとします。
その場合,C,D,E全てが代襲相続人になります。
いずれにしても,おばあさまには子供(養子)であるA,Bがいますので,おばあさまのお姉さんは相続人にはなりません。
結論としては
A,C,D,Eが相続人となり,
相続分は
A:2分の1
C,D,E:6分の1ずつ
となります。
2 おじいさまの相続について
おじいさまの相続については,相続発生時の相続人及び相続分は
(1) おばあさま:2分の1
(2) おじいさまの実子(姉,A):4分の1
(3) おじいさまの実子(妹,B):4分の1
となります。
その後Aが亡くなることで相続人及び相続分は
(1) おばあさま:2分の1
(2) おじいさまの実子(姉,A)の子供C,D,E:12分の1
(3) おじいさまの実子(妹,B):4分の1
となり,
さらにその後おばあさまが亡くなることにより相続人及び相続分は
(1) おじいさまの実子(姉,A)の子供C,D,E
12分の1+2分の1×2分の1×3分の1=6分の1
(2) おじいさまの実子(妹,B)
4分の1+2分の1×2分の1=2分の1
ということになります。
以上です。
ご参考になれば幸いです。
評価・お礼
Shark2011 さん
2011/04/11 21:18
細かくご説明いただきまして、誠にありがとうございます。
養子縁組の時期をご指摘いただいていましたが、実子2名が祖母と養子縁組をしたのは祖父が亡くなる前後だったと思います。その頃にはすでに、両姉妹の子達は出生していました。つまり、出生後の養子縁組となります。
その場合、姉の子達は代襲相続人になれないということでしょうか。私としては彼らにも相続させたいと思いますが、それは不可能なのでしょうか。度々の質問で申し訳ございません。宜しくお願い致します。
柿沼 太一
2011/04/12 03:56
C,D,Eの出生時期が,おばあさまとAの養子縁組前だとすると,その方達は残念ながらおばあさまとの関係では法定相続人ではありません(ただし,その方達に財産を遺すという遺言があれば可能ですが,遺言はないのですよね)。
そうしますと,相続人は,
1 おばあさまの相続について
Bのみが相続人となります(先の回答では,C,D,Eの出生時期が養子縁組後の場合は法定相続人がA,C,D,Eの4人,と回答していましたが,その場合でも法定相続人はB,C,D,Eの4人でしたね。申し訳ありません)
2 おじいさまの相続について
おじいさまの相続については,相続発生時の相続人及び相続分は
(1) おばあさま:2分の1
(2) おじいさまの実子(姉,A):4分の1
(3) おじいさまの実子(妹,B):4分の1
となります。
その後Aが亡くなることで相続人及び相続分は
(1) おばあさま:2分の1
(2) おじいさまの実子(姉,A)の子供C,D,E:12分の1
(3) おじいさまの実子(妹,B):4分の1
となり,
さらにその後おばあさまが亡くなることにより相続人及び相続分は
(1) おじいさまの実子(姉,A)の子供C,D,E
12分の1(おばあさまの関係では相続人では無いので変化無し)
(2) おじいさまの実子(妹,B)
4分の1+2分の1(おばあさまの相続分をそのまま合算します)=4分の3
ということになります。
以上です。
法定相続人でない方を含めて遺産分割協議をすることはできませんので,残念ながら,おばあさまの関係ではC,D,Eを含めて遺産分割をすることはできません。
一方,おじいさまの関係では,C,D,Eも法定相続人です。
したがって,おじいさま,おばあさまともに遺産分割が未了であれば,おじいさまの関係でC,D,Eを含めて遺産分割をすることは可能です。そこでC,D,Eに法定相続分を超える遺産分割をしてあげることで(これは可能です),実質的におばあさまの関係でも遺産分割をしたと同様の分与をすることが可能かもしれません。
詳細はやはり専門家にご相談なさることをお勧めします。
ご参考になれば幸いです。
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