松野 絵里子
弁護士
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不倫関係の解消と誓約書
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私は奥様側の相談を受けることが多いのですが、あなたの女性のような相談を受けることもあります。
弁護士というのはいずれの立場でも依頼者の権利を守ることが仕事ですので、そのときの依頼者に応じて対応することになります。
さて、貴殿にお聞きしたいのですが、今、男性はあなたにどうして誓約書をもとめているのでしょう?
それがはっきりしませんが、おそらく奥さんに見せて、許しを請うためではないでしょうか。
一方、貴方にはこの誓約書にどんな利益があるのでしょう?
私は弁護士ですので、依頼者を保護するために何をするべきかと考えるのが仕事で、こういう方向から考える癖がついているので、ついこういう質問になってしまいますが、貴方はこの誓約書のメリット・デメリットを冷静に判断してから作成する必要があります。
貴方は、気持ちがすっきりするから・・・・とおっしゃっていますが、そのためには別に奥さんに見せる誓約書はいらないでしょう。はっきりお別れしてしまえばよいのです。あるいは、あなたとしても文書にサインするとそれを守るだろうからすっきりするというなら、そういうメリットがこの誓約書にあるということになり、そのために作成することになりますね。
では、この誓約書を書くデメリットは何でしょう?
貴方が不倫について認める文書ですので、後で奥さんはこれを証拠にして慰謝料請求をしてくるかもしれませんよね。(なお、
貴方が請求されて支払ったら、その一部を男性に求償できます。これは不貞がふたりの共同不法行為であると考えられていることによります。)いずれにせよ、今誓約書を書くことにはこのデメリットがあるので、それを認識しておくべきですね。
ではこのデメリットをなくすにはどうするか?ですね。
奥さんにもサインしてもらって、合意書という形にして「関係を終わらせること」を貴殿が約束して、奥さんには「慰謝料請求権を放棄する」という内容にしてもらうのです。もちろん、奥さんとしてはそれは嫌かもしれないので、うまくいくかはわかりません。
奥様に一定の金額を払って、それ以外には一切請求しないという形にするのも別の解決方法です。これは割合、良くある解決方法だと思います。
補足
誓約書に住所を書くことは必要ではありません。相手がそれでよいといえばです。
私も、依頼者が住所を相手に隠したいということはありますので、弁護士が本人の確認をして住所を隠したまま記名押印してもらうこともありますが、それはお互いに弁護士がついているので、まあそれでもよいかと、互いに合意した場合です。
サインしたところを見ないと、結局はあとで誰がサインしたのかわからなくなるという問題があります。あとでサインをしたのが当事者でなかったのがわかると、合意書は無効なのです。弁護士立会いで互いに会ってサインをする(このような立会いは弁護士しかできない法律事務であり、報酬が必要ですので費用はそれなりにかかってしまいます。)とか、印鑑証明ももらってその印鑑で捺印してもらうとかいった工夫が必要です。互いに弁護士がついていると、そういった手続きを進める場合にはスムーズですが、不倫の慰謝料という比較的低額の慰謝料請求の事件で、きちんと当事者が弁護士をつけるのは、費用対効果の点で、なかなか難しいかもしれません。
公正証書は、そういう意味では本人か代理人が行かないと作成できないので、後で有効性が争いになりにくいですが、作成はめんどうではあります。
評価・お礼
りん☆ さん
2011/02/14 19:43
ありがとうございます。
補足を入力したのでご確認ください。
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