対象:住宅設計・構造
関尾 英隆
工務店
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長期優良住宅のメリットは大きい
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長期優良住宅は、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画などにおいて、通常の住宅よりも高い性能を持たせた住宅で数世代に渡って長く使用できる住宅を言います。
クラッシュアンドビルドの日本の住宅のあり方を見直し、長きに渡って住み続けることの出来るストック型の住宅を建設しようとするものです。
具体的には構造体を太くする、腐りにくい樹種とする、基礎のコンクリート強度を高める、床下の寸法を高くする、設備の更新をしやすいものとする、竣工後のメンテナンス計画を行うなどなどの基準があります。通常の住宅に比べて300万円位の工事費の増が必要となると思われます。とは言ってもそれは、住宅が長く使用するために必要なもので、建替えをすることに比べると結果的には安くなります。我々が通常建てている建物は、ほぼ長期優良住宅の仕様と変わらない為に、ほとんど費用の増はありません。
一つ使い勝手に関して問題となるのは、柱を太く(4.5寸など)にすると、通常のモジュールである3尺(約91cm)の柱芯では、廊下幅は730mmになってしまい、かなり狭くなってしまいます。3尺間のモジュールでなく、メーターモジュールにしたり、廊下の巾を広くするなどの工夫が必要です。柱の太さが105mmと150mmでは、有効面積に大きく差が出てくるので、建坪が小さな住宅では大変不向きです。また長期優良住宅の基準では最低床面積が定められています。
整理すると
・構造的に安心
・光熱費が安くつく
・メンテナンス代が安くつく
・リフォーム費用も安くつく
・歳をとっても安心
・建物としての価値が高くなるため、資産価値が上がり売却時に有利
などのメリットがあります。
・コストアップがある
・狭小地などでは、壁厚が厚くなり部屋が狭くなる
などがデメリットと考えられます。
コストアップについては、ベースにしている価格に寄っては価格差があります。いいものを手に入れるにはそれなりの費用が必要だと考えれば、決して高いものではないと思います。
条件によっては、国から最大200万円の補助が出ます。現在建設中の物件も申請しており、200万円の補助を受ける予定です。補助を受けることができれば、「長期優良住宅にしない手はない」と言えると思います。
以上ご参考いただければと思います。
評価・お礼
5LLLAMAGLAFH さん
2010/10/20 17:21大変参考になりました。長期優良住宅にしようと思いますが40坪弱の家では、部屋が狭くなりますか。
関尾 英隆
2010/10/20 17:35評価ありがとうございます。40坪あれば十分問題ないと思います。部屋が狭く感じるほどのことは無いと思います。ただし、本文でもご説明したとおり、廊下や階段周りでは、3尺モジュールでは巾が狭くなってしまうので、柱をずらすなどの工夫が必要になります。長期優良住宅をやったことがある設計者さんなら分かっていると思います。
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この回答の相談
40坪弱の新築を予定しておりますが、長期優良住宅にしようか悩んでいます。
メリットよりデメリットの方が、大きいように思いますが、どうでしょうか。
5LLLAMAGLAFHさん (山口県/40歳/男性)
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