対象:労働問題・仕事の法律
今林 浩一郎
行政書士
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退職と有給休暇の取得
民法627条1項は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と規定します。一方、労働基準法13条は、「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による」と規定します。
ここで注意しなければならないのは、労働基準法13条の「この法律」とは、民法ではなく労働基準法であるということです。ところが、労働基準法上は二週間の告知期間に関する規定はありませんから、就業規則で定められた4カ月の告知期間を労働基準法違反で無効と解することはできません。したがって、4カ月の告知期間を定めた就業規則を労働基準法違反として労働基準監督署に申告することもできません(労働基準法104条1項)。しかしながら、判例・多数説は、民法627条1項は強硬法規と解しており、民事上は4カ月の告知期間は無効になります(東京地判昭和51年10月29日)。
次に、労働基準法39条1項は、「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続して勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定しますから、この条件を満たす限り、新入社員といえども有給休暇を取得できます(年次有給休暇)。そこで、仮に14労働日の有給休暇あれば、退職日の14日前に内容証明郵便で退職を会社側に通知し、退職日まで14労働日の有給休暇を取ってそのまま退職することも可能です。
補足
就業規則が定めた4カ月の告知期間も、民法627条1項の基準に適合する2週間の範囲内では有効です。
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