対象:労働問題・仕事の法律
鮫川 誠司
司法書士
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ニセ社労士業務と税理士の責任
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ニセ社労士業務を行った税理士の責任について,下記の通り回答申し上げます。
1 ニセ社労士業務と税理士の責任
税理士と社労士業務との関係について,税理士(法人)は,「租税債務の確定に必要な事務」の範囲内においては,税理士業務の附随事務として社会保険労務士法上の一定の事務を行うことが認められています(平成14年6月6日付の日税連・全社連「確認書」第2項)。
従って,今回の雇用保険に関する回答も,税務相談の附随業務として行われている限り,許容される余地がないわけではなく,直ちに社会保険労務士法の違反といえるかは難しい問題であると考えます。
2 雇用保険に関する回答内容と税理士の民事責任
そもそも,労働者を雇用する事業は,業種・規模を問わず全て雇用保険の適用事業になり,雇用保険の適用事業に雇用される労働者は,原則として,その意思にかかわらず当然に被保険者となります。
このことは,退職時に,当該労働者が求職者給付の基本手当(いわゆる失業保険)の受給資格を満たすかどうかとは,関係がありません。
本件において,税理士が,雇用期間が6月しかないことを理由に雇用保険に入らなくてよい旨回答した理由は,いわゆる失業保険の支給要件として,離職の日以前の2年間に12月以上雇用されていたことが必要とされているためと考えられます。
しかしながら,会社都合等による離職(特定受給資格者)の場合には,離職の日以前の1年間に6月以上雇用されていれば足りることから,本件において,資格取得届・離職票を提出しなくても労働者側に実害がないとはいうことはできず,誤った内容を回答した可能性が高いと考えます。
したがって,pupicyan様が損害を被った(得べかりし失業保険を得られなかった)ことは,故意又は過失によって,他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したものであって,税理士は,損害を賠償する責任を免れないと考えます(民法709条)。
3 本件の対処方針
まず,会社に対し「退職理由証明書」(労基法22条)を請求し,会社都合による解雇であることの確認を求めて下さい。
その上で,労働基準監督署に相談しましょう。
最後に,会社及び税理士に対する損害賠償請求を検討されるとよいでしょう。
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評価・お礼
pupicyan さん
ありがとうございます。参考にして対策を考えます。心のつかえが少し楽になりました。
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この回答の相談
私は介護職で2009年6月1日~2009年11月30日まで正社員でした。家族経営の事業所で代表取締役は奥さんでした。ただ、社長の肩書をもっているのは旦那ほうでした。「気に入らない」という理由で解雇されまし… [続きを読む]
pupicyanさん (大阪府/38歳/男性)
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