対象:住宅設計・構造
田島 憲悟
リフォームコーディネーター
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高気密高断熱と時代背景
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窓は家の眼、耳、鼻。窓から景色を眺め、小鳥のさえずり小川のせせらぎを聞き、季節の花の香を楽しむ。しかし現代はなかなかそうはうまく中と外の会話を果たしてはくれない。
昔の匠(今もいますが)は材料を吟味し、その特性を理解し、技をもって住いをつくる。
しかし匠の技は数少なくなり、需要を満足するには比較的簡単な手法の住い造りが必要になってきた。そして30数年ほど前2×4、プレファブリック工法など、比較的安く堅牢な家が建てられてきた。それらは初期性能はいいのだけれど、やはり匠の家にはかなわなかった。
それらの家はただでさえ気密性が高く、壁体内の結露を見逃していた。
そして、あわてて断熱化を図らなければならなくなった。
さて、高断熱高気密にすると新建材から発生するクロルピリホス、ダイオキシンなどによるアレルギーや健康被害が心配になり、揮発性有機化合物の排出基準も定められ、改正建築基準法で24時間換気システムが必要とされるようになった。
時代背景では匠の家は日本の住まい方にとてもふさわしかった。
でも「ヒートショックやコールドドラフト」は人に優しくない。できれば避けて通りたいものです。高気密高断熱の家は時代の背景で生まれましたが今では理想形でしょう。でも気持ちの良い季節には窓をいっぱい開け、すがすがしい風を取り入れることと思います。
安価なものと珪藻土をうまく貼り分け高性能でなくとも合理的な住まい方をお勧めします。
空間の壁の一面だけ調湿、防カビ、消臭、除菌効果のある珪藻土などをご使用になるだけで結構効果があると思います。
補足
最近の換気扇モーターはACからDCタイプに移行しつつあり、ACの30%~50%ぐらい省エネになっています。しかしメーカー保証は5年間。フィルターの清掃は定期的に行う必要があります。その為には清掃しやすい器具を選びましょう。それと各室第1種換気
にすればたとえ故障してもそこだけ修理、交換すればよい。
お話の換気システムはパイプ配管によるセントラル的な集中気調システムと思われます。
この方式でもフィルターの清掃は欠かせませんのでなるべく清掃、点検がやりやすい納戸の壁などに設置すると良いでしょう。室内機本体に光触媒をコーティングし自浄作用を持たせたものがありますが、配管内はできません。フィルター掃除時期をセンサーが教えてくれるタイプもあります。
いずれにしましてもお住まいの地域が寒冷地、純寒冷地、温暖地のいずれかによって1種、3種をお考えいただきたい。メンテナンスフリーはまだまだと思います。
評価・お礼
yue さん
細かなご回答ありがとうございました。知りたかった情報を教えていただけましたのでとても助かりました。実家は古い日本家屋で、シックハウスなどとは無縁の環境だったのですが、とにかく夏は涼しいが冬は家の中で上着を着ないといられない、布団から出ている部分が凍りそうな(感じ)のする家で、なくなった祖父が脳溢血で倒れたものですから、今いる祖母と両親は暖かな家に住まわせたいという想いで今回家を建てることになったのです。なんとか体には優しく、暖かな家を実現させたいと思っております。また質問するかと存じますので、その際はよろしくお願いいたします。
田島 憲悟
お悩みの御相談はいつでもOK。
生徒たちからの素朴な疑問にもいつも応対しています。
立場は違えども人としては一緒。
おおいにぶつけてください。
先日もIHについて投稿しようと思ったのですが、電磁波について。
でも、社会問題になりそうなので躊躇してしまいました。
文章で書ける限界も感じています。
アスベスト問題、集成材問題、電磁波問題等・・・。
言いたいけど言えないジレンマ。
私は悩み続けています。
ご察しください。
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この回答の相談
高齢者3名とアレルギー体質で身体の弱い子供1名が快適に住める家を建てたいと考えています。無垢材の仕様は勿論ですが、壁紙も害のないものをと思っています。しかしながら計7名で住む家はそれなりのサイズに… [続きを読む]
yueさん (茨城県/40歳/女性)
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